企業が成長する為には、社長一人の力でどうにかなるものではなく、会社全体が同じベクトルで行動する事が大切です。それには、絶対的な経営方針やビジョンを社員の個人レベルにまで浸透させる事が理想とされています。
ただ、全社員一丸となって同じ方向を向くことは難しいことで、企業文化が浸透せず、同じベクトルを向くことができない企業も多くあります。
今回は企業文化の概要や企業文化を浸透させるにはどうすべきかを解説します。
企業文化とは、社員のモチベーションを上げる為の具体的な仕組みやルール自体を指します。また、そのルールに基づく企業の考え方自体も企業文化と言われています。
企業文化は、採用活動においても前面に出している企業も多く、優秀な人材を集める為のアピールポイントとして使われています。また企業文化に共感した新卒者や転職者が、採用面接や説明会に参加する場合もあります。
弊社が独自に行った調査によると企業文化(社風)は、転職を決断する際の決め手の4位に入っています。また弊社独自でホワイトカラー契約・派遣社員の職務実態を調査したところ、外資系・日系グローバル企業の国内拠点で働くホワイトカラー契約・派遣社員の11%が、「仕事を引き受ける決め手」に「企業文化」を選んでおり、企業文化は転職や仕事を受ける際の重要な指標となっていることがわかります。
他の企業に目を向けると、素晴らしい企業文化が浸透し、企業活動にプラスに働いているケースが多々あります。企業文化が浸透している企業では、社員の為の企業文化があり、離職率も少ない傾向にあります。
企業文化は直接的に利益に繋がらないと考えられがちですが、組織として意識統一がなされている企業では、社員同士が同じ目標に向かって動き利益を上げているケースがよく見られます。こうした良い企業文化からヒントを得て、自社用にカスタマイズし、独自の文化を作るのもいいでしょう。
IT業界は新しい文化を取り入れていく業界と言っても過言ではないでしょう。
いくつかのIT企業では、顧客第一主義といった企業文化があります。この場合、顧客を本来のカスタマーだけではなく、自分にとってやり取りのある人達全員にあてはめ、同僚や取引先にも満足してもらえるようなふるまいをする、感謝をするといった企業文化が根付いています。
またIT業界では日常的にデータを使うため、「データは意見よりも重要だ」といったものから、「必ずしもデータがすべてではない」といったものまで、データに絡めた企業文化を持っている企業も多くあります。
IT業界で目立つ企業文化の内容として、フレックスタイムの導入や在宅からのリモート業務の推奨が挙げられます。PCを使った業務がほとんどであり、時間や場所を問わず業務を遂行出来る為、子育や介護する身でも安心して働く事が出来るのも特徴です。
大手企業では、グループ企業や提携企業が持つ待遇を使い、社員の家族のことを考えた企業文化を浸透させることが多いようです。
良い家庭があってこそ良い仕事が出来る、ということをコンセプトとして考えており、仕事より家庭を優先しても後ろめたくならないような企業文化を浸透させています。
また予算が多い大企業ならではですが、既存領域だけではなく、自分たちの領域を広げるために新規事業提案の機会や子会社設立支援を設けている企業もあります。
ベンチャー企業の場合は、スタートアップならではの独自の企業文化を打ち出しています。
副業OKであったり、個人事業主として起業するサポートを行っているベンチャー企業は少なくありません。そういった背景から、「昨日の自分を超える」、「常に成長する」といった企業文化のキャッチコピーを押し出している企業もあります。長く働いてもらう事よりも、独立して対等な立場で活躍しあえる社員を育成するような企業文化であると言えるでしょう。
また企業文化として透明性を掲げる企業の場合、経営会議の資料や、CEOとのメールまでオープンにしている企業もあります。
企業文化について闇雲に理想を掲げると、浸透するどころか会社の社風や空気に悪影響を及ぼしかねません。企業文化を浸透させるにはまず、社員が納得する内容でなければなりません。
その為には、企業文化は社員にとってもメリットがある事を理解してもらうと同時に、既成概念を覆す様な新しい発想である必要があります。また、企業文化の内容を社長自らが自分の言葉で表現し、熱量を持って伝えなければなりません。
企業文化は社員個人の幸せを重視した内容になっており、評価や給与に直接関わる事はあまりないでしょう。そういった点からも企業文化を浸透させ、利用してもらうには、社員にとってもメリットがある内容を提示しなければ現実的な動きには繋がりにくいといえるでしょう。前述のリモートワークやフレックスタイムは満員電車を避けたい人たちや子育て中の人達にとっては利用しやすい企業文化の一つと言えます。
企業の経営理念は、入社したばかりの若手社員や中途社員にも浸透させる事が重要です。経営理念を浸透させる事は企業文化を理解してもらう事にも繋がります。
また採用人事は社内に新しい風を吹かせる効果を期待出来ます。若手社員を受け入れる側にとっても既存の運用やルールを見直す機会になります。若手社員に企業文化を理解してもらうことで、既存の社員にとっても再度企業文化を思い出すきっかけとなり、組織全体に活気をもたらす効果が期待出来ます。
ビジョンを社員に伝える為には、経営陣から熱量を持って伝える事が重要になってきます。社長業としては、こうしたビジョンや経営理念を全社的に発信する事も大切な業務のひとつでしょう。
ビジョンの発信は、メールや掲示物だけでは伝わりにくく、対話をする事や、研修を定期的に行い、ビジョンについて考えたり意図を伝える機会を設ける方法が効果的です。
支店が全国にある様な会社であれば、エリアマネージャ等に任せる場合が出てくるかもしれませんが、極力代表の言葉で直接伝える事が企業文化の浸透に大きく寄与するでしょう。
会社によっては企業文化に触れる機会が少ない場合も多く、経営理念やビジョンがどこで発信されているか分からないケースもあるでしょう。
企業文化が経営陣レベルに留まり、現場レベルに浸透していない事で悪しき社風が根付いているケースは一刻も早く改善する必要があるでしょう。当然ですがより良い企業文化が浸透し、醸成している会社は人材の定着率も良く、プラスのスパイラルが働きます。
経営陣はそういった事実をいち早く理解し、改善に向けて日々実行していくことが求められます。
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