MBAはキャリアアップに必要なのか
企業幹部を目指す人材が同僚との差別化を図るためにMBAを取得しようとする傾向が高まっています。しかし、MBAの取得を検討する際には、MBAの資格が自分にどのような価値をもたらすのか考える必要があります。
MBAに時間とリソースを投資することが、業種と職種によっては適切なこともあるものの、全てのスペシャリストにとってこの条件が当てはまるとは限りません。まず認識すべきなのは、MBAは手っ取り早く取得できる資格ではないということです。多大な時間と費用のかかる資格であるため、全ての人にとって最適な選択というわけではありません。
MBA取得の価値は高いものの、MBAを取得しようとするスペシャリストは自己のキャリアがある程度の段階にある必要があります。MBAを取得することに必ずしも価値があるとは限りません。社内の役職により適した資格を取得したほうがよい場合もあります。
MBAコースへ参加した場合には、授業以外から得られるメリットもあります。
1.教授が業界との貴重な窓口に
ビジネススクールの多くの教授が優良企業で重要な役職を歴任したトップレベルのビジネスパーソンです。起業家である教授もいます。
このような教授とつながりを持つことはキャリアにとって大きな財産となります。MBAの資格によって得られる学位に加えて、教授との間でビジネス上の強固な関係を築くことも忘れないでください。
2.MBAコースを通じて貴重なイベントに参加
大学が提供するイベントを最大限に活用することで、知識と経験をさらに高めることができます。
通常では参加できないようなセミナー、パネルディスカッション、ワークショップ、有名著者によるサイン会に参加する機会が得られます。
このような経験により新たな考え方や通常とは異なるビジネスモデルに接することができるだけでなく、ネットワーキングを行い、ビジネス上の貴重なつながりを作ることもできます。
3.クラスメートを通じて人脈を広げる
MBAのクラスは、自分の能力を高め、キャリアアップを実現し、ビジネスで大きな成功を収めたいという意欲を持つ人であふれています。同じ環境でそのような人と過ごすため、他の環境では得られないような仲間意識が生まれます。
クラスメートを通じてこれまでと全く異なるネットワークを構築することができます。この関係は通常特定の業種と職業を超えた関係となります。
このようなクラスメートと協力しなくてはならない環境は教室の外でも続く貴重なビジネス上の関係を生み出します。この関係を利用することで、さらなるキャリアアップが実現します。
4.MBAの取得は能力の信頼性を高める
「実務」経験が非常に重要であることに変わりはないものの、MBAを取得することによってある程度の信頼性を高めることができます。
MBAの資格を取得すること自体が1つのことを成し遂げたことを意味しますが、MBAの資格により自分が特定分野における専門家であり、一定レベルの努力を行い、相応の労働倫理を備えた人材であることを示すことができます。
このように信頼性を高めることは、キャリアをさらに進展させる場合や、より高い役職に就こうとする際に特に重要となります。
多くの場合、ジュニアレベルからシニアレベルのマネージャー職へとキャリアアップを実現することは非常に困難です。MBAは、より高い責任を担う能力があることを示す効果的な手段となります。
5.MBAの取得により、企業幹部にふさわしい素質を身に付ける
ビジネス部門の責任者や担当者の全てがMBAを保有しているわけではありません。しかし、MBAの学位を保有することにより、幹部職に就いたり、幹部職の候補者となる可能性が高まることがあります。
MBAのコースでは、多くの場合、幹部職に応用可能なリーダーシップ、ビジネス、マネジメントの理念について学びます。
6.MBAの取得により収入アップの可能性が高まる
MBAを取得したからといって全てのスペシャリストの収入がアップするとは限らないものの、統計データによると収入アップが実現する可能性は高いです。
ロンドン・ビジネススクールでは、昨年度のMBA取得者はMBA取得前と比べて収入が149%伸びています。オックスフォード大学ではこの伸び率は132.2%であり、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのMBAコースでは122.2%でした。
MBAがキャリアアップに役立つことは間違いないものの、チャンスを最大限に活用できるだけの適切なレベルの役職に就いており、コース修了に必要な時間的な余裕があり、入学するだけの金銭的な余裕があるかどうかを見極める必要があります。
こういった全ての問いにはっきりとイエスと答えることができないのであれば、MBAの取得は再考したほうがいいでしょう。
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