【IT業界】グローバル(バイリンガル)人材マーケット 採用動向レポート 2018
ベンダー・コンサルティング
昨年に続いて求人数は多く、英語が話せて専門技術を持つバイリンガルIT人材の不足も顕著で、優秀な候補者には複数の内定が出ています。SaaSやIaaSに代表されるクラウド領域の専門人材を巡っては特に企業間の獲得競争が広がっています。この背景には、クラウド関連の外資系スタートアップ企業の相次ぐ日本参入と、日系企業、外資系企業の日本拠点でもオンプレミスからクラウドへの移行が急速に進み始めたことがあります。クラウドサービスの導入が進んでわずか数年なため経験の豊かな人材は日本国内では希少性がとても高く、英語と日本語に対応できるバイリンガル人材の場合は希少価値がその数倍にまで上ります。
東京オリンピックを間近に控えてIoTの開発・実用化の動きが急速に広がりデータアナリスト、データサイエンティストへの需要は高まり続けています。AI、IoT専門人材の需要増については数年前から予想されていましたが、産業からの実需を受けて2017年は求人の本格化が見られ、1年を通じて求人数が高水準で推移しました。AIを巡っては研究者・開発者とは別に実用化を担えるエンジニアが少なく、需要に対して圧倒的に供給量が足りません。
ベンダー・コンサルティングの給与水準
需要と供給のバランスから、転職時に提示される給与水準も上がっています。セールスエンジニア、テクニカルコンサルタント、プロジェクトマネジャーでは給与水準が前職より平均10~15%上がっています。競争力のある給与額の提示に留まらず、在宅勤務など柔軟な働き方を受け入れる工夫を示すこと、採用プロセスにかかる時間をなるべく短くすることにより優秀な人材の確保に際して競争相手となる企業よりも優位に立てる傾向が見られます。
以下給与調査2018より抜粋(給与調査2018では別の職種・業種の給与も掲載しています。)
プリセールスエンジニア:900 - 1,700万円
IT コンサルタント:900 - 1,400万円
プロジェクトマネジャー:1,000 - 1,600万円
金融
2017年は最新のCRM システムを導入する保険会社が多く見られました。同時に多くの企業ではクラウドプラットフォームへの移行も進められました。これら二つの領域に明るいITスペシャリストを巡る人材需要が高まっており、転職時の給与水準も伸びています。プロジェクトマネジャー、ビジネスアナリスト、テクニカルアーキテクトでは特に顕著な伸びが見られます。データサイエンティスト、データアナリストへの引き合いも強まっており、転職時の給与額の伸び率はIT業界内でも屈指の高水準に達しています。
外資系証券会社では2016年中頃から2017年中頃にかけてヘッドカウントの縮小が進みましたが、開発業務、ビジネスに沿ったサポート業務を中心に東京では削られたヘッドカウントのいくつかを戻そうといった動きが見られます。また優秀な人材の興味喚起、採用後の定着促進、カウンターオファー回避などを狙った転職時の給与増も有効性が高まっています。
フィンテック関連企業の市場参入も相次ぎ、ウェブデベロッパー、モバイルデベロッパーの需要が伸びています。ベンチャー企業を応募する候補者はストックオプションと柔軟な働き方に期待を寄せる一方で、高い給与水準は依然として有効な売り込み材料となっています。
IT-金融(銀行・証券・投信)の給与水準
以下給与調査2018より抜粋(給与調査2018では別の職種・業種の給与も掲載しています。)
プロジェクトマネジャー:1,000 - 1,600万円
ビジネスアナリスト:1,000 - 1,500万円
シニアデベロッパー:1,300 - 1900万円
商工業
2017年はデータサイエンティスト、データアナリスト、ビジネスインテリジェンス(BI) スペシャリストの人材需要の高まりが特に目立ちました。企業の成長、競争力保持には欠かせないため、製造全般・消費財・小売・医療機器・製薬などの分野で人材採用が活発になっています。実店舗とEコマース、両チャネルの顧客データを繋いで活用することが、多くの企業が持つ共通課題となっていることもこの背景にあります。人工知能(AI)、自然言語処理(NLP)、機械学習(ML)の採用数が増えており、人材需要は2018年以降も伸び続けることが予想されます。
ミッションクリティカルシステム、ビジネスアプリケーション、最先端科学技術の知見を持つ日英バイリンガル人材の不足がIT業界全体で深刻化しています。この人材プールの枯渇が数年続いたことから、昨今では国内で補充できない分を海外からも採用しようと外国人人材の活用を視野に入れる企業が増えています。また外国人人材の採用では、語学力の高さよりも技術力を優先する傾向が見られます。
IT-商工業の給与水準
以下給与調査2018より抜粋(給与調査2018では別の職種・業種の給与も掲載しています。)
ITマネジャー:1,000 - 1,500万円
Eコマースエンジニア:600 - 1,000万円
オンライン
モバイルアプリ、ゲーム、ウェブ/E コマース開発での採用数が昨年を上回りました。オンライン関連職では自らの技術開発を視野に入れて2~3年おきに転職を繰り返すプロフェッショナルが増えています。データサイエンティスト、BIスペシャリストを中心にデータ関連人材の活躍の場はゲーム、ソーシャルメディア、E コマース、モバイルアプリを含むオンライン分野全体に広がっています。オンライン分野では、年収に加えて職場の雰囲気、最先端のテクノロジーに携われるか否か、ストックオプションなどの福利厚生・ベネフィットを転職の「決め手」として重視する候補者も増えています。
IT-オンラインの給与水準
以下給与調査2018より抜粋(給与調査2018では別の職種・業種の給与も掲載しています。)
ITマネジャー:1,000 - 1,500万円
モバイルアプリケーションデベロッパー:500 - 900万円
契約・派遣
ウェブ関連技術者とOSSプログラマーの採用が増えました。これは、Eコマース市場の拡大と各社のゲーム事業の急成長に一部起因しているものと考えられます。事業ポートフォリオ拡大に注力する多くの企業では優秀な人材の確保が2017年事業計画においても重要な役割を担いました。多くの企業では契約社員の雇用形態を活用することで過剰雇用のリスクを避けながら、専門スキル・知識に富んだ人材の採用を積極的に進めています。この動きが広がり採用の柔軟化が浸透したことで、企業間ではネイティブレベルの日本語力などといった従来の採用要件が緩和されるケースが散見されます。2017年はDevOpsの重要性も高まりました。製品開発と運用に加えトラフィック制御に不可欠な人材であることから、サーバーサイド デベロップメントとインフラ運用の両方に精通する候補者への引き合いは一層強まっていくでしょう。2018年はAI、DevOps、従来型・最新型プログラミング言語の経験を持つバイリンガル技術者を巡る人材獲得競争の激化が見込まれます。加えて2017年はヘルプデスク、サーバーサポート、データベース アドミニストレーション、セキュリティ分析、プロジェクト・コーディネーション、プロジェクト・マネジメントなどを含むインフラサービス全領域で人材需要が高まりました。契約・派遣社員の転職マーケットも売り手市場化が進んでおり、2018年も銀行業、保険業、ITコンサルティング、テレコムを中心にこの傾向は続くでしょう。2018年は給与水準も大多数のポジションで上がることが予想されます。クラウドコンピューティング、エンドユーザーサポート、テレコムエンジニアの給与は特に伸びるでしょう。この背景にはクラウドコンピューティングを用いてネットワークインフラの安定性を強化したい、あるいはアドミニストレータを含めて情報セキュリティを強化したいといった企業の狙いがあります。
IT-契約・派遣の給与水準
以下給与調査2018より抜粋(給与調査2018では別の職種・業種の給与も掲載しています。)
ヘルプデスク(IT-商工業):時給3,350 - 4,350円
データベースアドミニストレーター(IT-金融):時給7,500 - 8,500円
セキュリティアナリスト(IT-金融):時給4,150 - 5,650円
プロジェクト・コーディネーター(IT-金融):時給4,000 - 6,000円
プロジェクト・マネジャー(IT-金融):時給7,000 - 9,000円
テレフォニーエンジニア(IT-ベンダー・コンサルティング):時給4,500 - 6,200円
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もっと読むバイリンガルの人材獲得スペシャリストの不足が続き、特にジュニアからミドルレベルの人材需要が高まりました。特にプロフェッショナルサービス、IT、ヘルスケア分野でこの傾向が強く、2017年も採用担当者不足が続くでしょう。 戦略的人事を担うHRBP(ヒューマンリソース・ビジネスパートナー)やゼネラリスト、ジュニアレベルの給与スペシャリスト、ミドルからシニアレベルの報酬・福利厚生マネージャーの求人が多く、2016年は転職者の給与水準が 5 ~15%上昇しました。 バイリンガルの人事プロフェッショナルの需要が強まるなか全ての専門分野で深刻な人材不足が発生しており、この傾向は 2017年も続くと予想されま
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