緊急事態宣言が解除され、暮らしと働き方に徐々に日常が戻ってきました。しかし、「新しい生活様式」といった形で提唱されるように、新型コロナウイルス流行前に戻るというわけではありません。「アフターコロナ」における働き方で、人事部門が何を考え、何を行うべきかまとめました。
「アフターコロナ」で行われる働き方としては、感染リスクを避けるため、時差通勤の励行や、フレックスタイムの導入があります。一方で緊急事態宣言下で実施されたリモートワークを引き続き行うという企業もあります。
厚生労働省が発表した「新しい生活様式」では、働き方の新しいスタイルとして、時差通勤やローテーション勤務に加え、リモートワーク勤務の実施も求められています。ロバート・ウォルターズ・ジャパンが6月15日に発表した調査結果によれば、新型コロナ感染拡大前後で、全社員対象のリモートワークを導入した企業が14%から73%と59ポイント増加しており、アフターコロナの新しい働き方では在宅勤務制度の対象者を従来よりも増やすと答えた企業が74%に上り、リモートワークが、その形や目的を変えて引き続き行われると予想されます。
その結果として、企業はオフィスで社員が一斉に集まり仕事をするというような、従来の働き方ではない働き方を前提に、さまざまな制度を設計しなければならなくなりました。全員がオフィスにいない、リモートワークをしている社員が多数いる状況で、どのようなことが課題となってくるのでしょうか。
毎日顔を合わせない働き方で、会社側も社員側も一番戸惑うのが、評価の仕組みです。今までface to faceで働いていたときは、労働時間やどれだけ密にコミュニケーションを取って仕事をしていたかを基準に評価をしていたところ、リモートワークになると、労働時間や業務量が細かく把握できなくなります。
また、密に対面でコミュニケーションしていたときには伝わりやすかった経営層の考え方が伝わらなかったり、社員間のコミュニケーションが滞ったりすることによって、生産性が落ちる懸念もあります。社員のメンタルヘルスの状況を把握しづらいという問題もあります。
アフターコロナの働き方は、それまで以前と異なるため、人事部門としても新しい施策を取っていくことが求められます。
社員の一部の人がオフィスで仕事をしていて、一部の人が自宅でリモートワークをしている状態で問題となる評価基準ですが、今までのように労働時間を基準とした評価や業務量を基準とした評価では、出勤している社員と、出勤していない社員との間で、公平な評価が出来なくなってしまいます。
そこで必要なのがKPIや売上の達成度といった成果に応じた評価基準です。成果主義を採用することで、オフィスに出勤している社員も、リモートワークで働いている社員も等しく評価することができるようになります。
リモートワークを行う社員が増えていると、会社として気になるのが、社員の方々と会社の考え方、方針について、きちんと意思疎通できているのかどうかということ。そこで、世界の多くの企業で取り入れられているのは、オンラインでの経営陣と全社員との対話集会(タウンホールミーティング)の実施です。経営層が、オンラインで自社の考え方や方針について社員と共有し、ディスカッションする場を設けます。その際に重要なのは、オンラインの特性を活かし、チャットで質問をライブで集めたり、投票機能を使ってその場でアンケートをとるなど、インタラクティブなものにすることです。一方通行な発信ではなく、経営陣と社員の対話を併用することで、会社と社員がビジョンやパーパスを共有し、同じ方向を向くようにします。
リモートワークを行う社員も、オフィスで働く社員と同じような生産性や快適さで働けるようにするために、リモートワークに適したオフィスチェアやモニターなどの機材の導入や、ソフトウエア導入を行うことが考えられます。
例えば、高速インターネット回線の利用料、サブディスプレイなどのハードウェアやチャットツールなどのソフトウェア購入の補助、オフィスチェアの購入補助などを会社を行っている企業も出てきています。
特にビデオ会議システムとチャットツールを整備することで、リモートワークであっても、社員間のコミュニケーションが確保され、face to faceに近い環境が実現されます。
さらに、リモートワークの導入で、従来支払っていた通勤交通費が抑制されることも考えられます。また、出社する曜日・週を分けるローテーション制、時差出勤との併用で従来よりも小さいオフィスでも執務が可能だと考え、オフィスを縮小する企業も出てくるでしょう。そこで浮いた経費を、リモートワークの環境整備に充てることも考えられるでしょう。
毎日顔を合わせられない中で、どのようにチームビルディングを行なっていくかが大きな課題となってきます。そこで対策として考えられるのが、オンラインでの雑談の場の設定や、オンラインでイベントを行うなどのバーチャル・アクティビティの開催です。
雑談は、コーヒーキャッチアップとも呼ばれ、社員間のコミュニケーションを通じ、相互理解や新たな発想が生まれる大切な機会です。リモートワークが導入されると、雑談がなくなるという懸念も考えられますが、その懸念を解消するために、意識的に雑談ができるオンラインの「場づくり」が重要となってきます。
その「場づくり」はオンライン飲み会に限らず、オンラインヨガやダイエット講座といった身体を動かすプログラムも考えられ、また、社内オンラインラジオ番組を作ってみるなど、ただ聞き流すだけの緩いコンテンツも用意することでメンバーが集い、コミュニケーションを通じて、チームとしての一体感を醸成することができます。
リモートワークとオフィスに出勤している社員が混ざっている働き方で重要なのが、社員のメンタルヘルスケアです。そこで、EAPをオンラインで実施するということが考えられます。
EAP(Employee Assistant Program)とは、アメリカで生まれた従業員支援プログラムで、パフォーマンスを下げる要因(ストレス、精神疾患、ハラスメント問題、トラブルなど)の解消を目指すだけでなく、パフォーマンスを高める取り組み(キャリアデザイン、ワークライフバランス、コミュニケーション・マネジメントスキル)にも取り組む支援内容を特徴としています。
このEAPの仕組みを、産業医や保健師、企業内カウンセラーだけなく、コーチングの専門家等と連携しながら、オンライン上に最適な形で整備していくことも、アフターコロナの働き方を考えるうえで、効果的な施策と言えるでしょう。
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