アベノミクスによる大規模な金融緩和により、市中に豊富な資金が提供されることで、資産価格の上昇が見られます。しかし、本格的な景気の上昇は、企業が手元資金を付加価値事業に投資していかなければ実現しません。
現在、企業では「新規事業の創出」「新たな需要の取り込み」に本腰を入れている状況です。そこで求められているのが、新規の事業を創出するための事業戦略を国際間で立案できるグローバルな人材です。
新規事業の創出の際、1つの選択肢となるのがM&Aです。優れた技術や人材、顧客を持つ企業を買収して資本を投入することにより、短期間で新規分野に参入できるだけでなく、シナジー効果により収益性の高い事業を創りだしていくことが期待できます。
今はまだ、金融緩和による「M&A市場の活況」というには早い状況ですが、その中でも、すでにその兆しをみせているのが、国内企業が海外の企業を買収する「in-out型」のM&Aになります。日本貿易振興機構(JETRO)の調査レポートによると、日本の対外 M&A は、2000年代前半に対外直接投資の 2 割前後だったものが、2013年の時点には45.3%に達しています。人口減少による需要の縮小という、社会的な課題を抱える日本の企業が、海外の市場開拓を行う動きは今後も続くものと思われます。
日本国内の「in-in型」M&Aについて注目するべき動向としては、中小企業の事業承継との絡みでしょう。経営者の高齢化が指摘される中、高い技術を持った企業を見極め、出資を行い財務体質を健全化、生産性の高い組織に生まれ変わらせることができるかが鍵となります。
いづれのM&Aにおいても海外市場の開拓は急務になっています。異なる言語、カルチャーから成り立つ企業同士を互いに結び付ける役割が、バイリンガル人材に求められつつあります。
金融緩和による物価高、マネー余りの状況で、経営者の間でも、M&Aや業務提携による新規事業の創出が急務という認識が共有されています。ここで需要が高まると予測されるのは、経営者と極めて近い距離で事業戦略に関する助言を行える人材です。
M&A等で必要となるのは、相手先企業の詳細なデューデリジェンスです。財務デューデリはもちろん、法務、専門技術など、様々な観点から企業価値を測る必要があります。また、有望市場の見極め、マーケティング分析などの知識も必須です。自分の得意分野を活かすことで、事業戦略の立案において役割を重要な担うチャンスがあります。
そして、上記で説明したように高まるin-out型M&Aや海外企業との提携などに対応する際には、相手国の文化や経営手法の違い、政情などのカントリーリスクもデューデリの対象として検討すべきです。もちろん、そういった動きの中で国際企業間での交渉や関連経済ニュースや情報をネイティブに収集できるようなバイリンガルな語学能力も必要となります。
日本の投資需要の高まりによる企業再編の兆しの中、経済のグローバル化も見据えながら事業戦略を立てられる能力と、複数言語でのコミュニーケーションや調整能力を併せ持ったバイリンガル人材が求められていると言えるでしょう。
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