日本の自動車メーカーにとって、ASEAN地域は、北米・日本市場に次ぐ大市場です。さらに最近では、南米やアフリカなども加わり、人口が多く経済成長の著しいこれらの地域は、次期の有望市場と目されています。これらの地域、マーケットでの展開がこれからの業績を左右するといっても過言ではありません。
加えて、自動車メーカーの中には、ASEAN地域を中心に生産拠点を移している企業も多く、こうした新興国市場に通じた人材は、販売面・生産面の双方ともに需要が高くなっています。
また、最近の注目キーワードは、「自動車のICT化」です。自動車業界においては、昨今ADAS(先進運転支援システム)が商品価値をにぎる重要な技術となっています。カメラ、画像認識・画像処理、センシング、通信などに強いエンジニアが求められており、電機やIT業界出身でそうした分野での経験をもつ技術者は、その強みをアピールする絶好のチャンスといえます。
2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定したことも、自動車業界の追い風となりそうです。トヨタ自動車とホンダは、水素を燃料とし、空気中の酸素との化学反応で発生する電気で動く燃料電池車の開発を進めており、「東京五輪でのマラソン先導車は燃料電池車で」と意気込んでいるといいます。また、日産自動車は、2020年をめどに無人で走る「自動運転車」の一般道路での実用化を目指しています。
2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定したことも、自動車業界の追い風となりそうです。
いすゞ自動車や日野自動車といった商用自動車は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)、燃料電池車の技術を導入したバスの開発を加速させています。2020年、オリンピック会場周辺は、さながら最先端自動車の見本市のようになるかもしれません。
こうした技術は日本のお家芸ともいうべき分野でありますが、外資系メーカーも負けてはいません。BMW(ドイツ)、フォルクスワーゲン(ドイツ)、GM(ゼネラル・モーターズ、アメリカ)、フォード・モーター(アメリカ)と、自動車メーカーが続々とシリコンバレーに研究拠点を設立し、「走るロボット」ともいえる最先端自動車の研究を加速させています。米国では、電気自動車業界で20年までに4万人の雇用が創成されるという業界関係者の声もあります。
これら最先端の自動車の開発には、化学分野の知識が不可欠であり、化学メーカー出身の技術者にもねらい目となっています。例えば、燃料電池車で使われるリチウムイオン電池で重要となる特性のばらつきを適正にコントロールする充放電回路設計者の求人なども出ています。また、エレクトリフィケーション(動力源の電動化)に伴い、充電設備の増設にかかわる技術者の採用も増加すると考えられます。
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