「自己PR」と「長所」の違いをご存知でしょうか。同じことのように捉えがちですが、それぞれにはそれぞれの意味があります。今回は、自己PRと長所の違いについて解説します。また、例文を使って長所を使った自己PR文の作成方法と考え方についても紹介します。長所と短所の関係についても触れていきますので参考にしてください。
「自己PR」と「長所」はどちらも自分の良いところを伝えるという意味では同じものです。しかし質問の意図が異なる場合もあるので注意が必要です。
自己PRとは「自身の強み」をアピールすることです。この強みとは、「直接的に仕事に活かせる部分」であるといえます。自分の性格面以上の「自分には何ができるか」という部分を面接官に伝えることが目的なのです。そのため、「私は◯◯ができるため、貴社では◯◯で活躍できます」など、しっかりと自分をPRすること、すなわち「売り込む」ことが重要です。自分を採用することで、企業にどのようなメリットがあるのかをしっかりとアピールできれば、好印象を与えることにもつながります。
自分を売り込むためには、根拠となる具体例が必要です。具体例を述べずにPRしていても、信憑性に欠けてしまいます。過去に自分が経験し、成果を出したエピソードなどを具体的に盛り込むといいでしょう。
企業が長所について質問するのは、「どのような人柄なのか」を判断する意図があるからです。
長所を見つけ出すためには「自己分析」は欠かせません。自分の性格や気質、考え方などを探り、他者よりも優れている部分を見つけましょう。ただ、自分で長所を見つけることが苦手という方も多いでしょう。そのような人は、他者からの評価を参考にしてみてください。「よく友人から、優しい性格といわれる」という方は、「他人に気遣いができ、思いやりを持って行動することができる」ことを長所として挙げることができるでしょう。
自分では気づかないような強みや人柄を、キャリアコンサルタントと話すことで整理できるかもしれません。職務経歴書に自己PRを書く前に、一度キャリアコンサルタントに相談してみるのもおすすめです。
長所について質問される際、短所についても聞かれることがあります。その場合、長所と短所は、セットで考えることをおすすめします。
長所と短所は裏返しの関係ともいえるものです。例えば、「協調性がある」というのは長所にもなりますが、反対に周囲の意見に合わせようとして自分の意見をいえないことが短所ともいえるでしょう。また、「自己主張が強い」という短所については、「自分の意見をはっきりいえる」といった長所に置き換えることができます。下記の表で、主なものをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
長所 | 短所 |
協調性がある | 自分の意見を言えない |
自分の意見を発言できる | 自己主張が強い |
忍耐力がある | 諦めが悪い |
計画をしっかりと立てて行動する | 心配性である・スピード感がない |
ポジティブな性格・チャレンジ精神がある | 楽観的にものごとを捉えてしまう・後先を考えずに行動する |
そもそも、企業が候補者に自己PRをさせる意図は「採用することで企業にどのようなメリットがあるか」を知るためです。そのため、自己PRを考える時には、志望企業が求める人物像を深く理解しておく必要があります。企業や業界に対する研究を重ね、求める人物像に沿った自己PR文を考えましょう。
一方、長所や短所について質問する意図は「どのような人柄か」「自社の雰囲気とマッチしているか」などです。また「応募者が自分の良いところや悪いところを自覚しているのか」という部分も見ています。特に短所について質問される場合には、「短所に対してどのような対策を講じているか」をチェックされているかもしれません。
質問の意図を正確に理解しておかなければ、的外れな回答をしてしまう可能性もあるため注意しましょう。
先述のとおり、自己PRや長所について問われたとき、そこにはそれぞれ違った意図があります。そのため、同じ内容の話をしてしまうのは、相手の意図をよく理解していないという評価につながりかねません。
こうした失敗を防ぐために、自己PRと長所は「関連させつつも違う内容」を考えておきましょう。
自己PRを考える時に、どのように強みを見つければ良いのかわからないという方も多くいます。しかし、自分の強みは、長所の中からこそ見つけやすいのです。
ここでは、自己PR文を考える際の強みの見つけ方について紹介します。
はじめに、自分が他者よりも優れていると思う部分を書き出してみましょう。
長所例
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このように、些細なことでも問題ありません。自分の性格や気質の中から良いと思う点、他者よりも優れている点を洗い出してください。自分はそこまで優れていないからと悲観的にならずに、他のチームメンバーや友人と比べてここが得意だなと思ったものを書き出していくと書きやすくなります。
自分自身の長所をピックアップしたら、志望企業の仕事に活かせる長所を選んでいきましょう。
例えば、志望する仕事が営業職である場合、上記でピックアップした長所の中では「人見知りをしない性格」や「行動力がある」が活かせそうです。営業職では、数多くの顧客と顔を合わせてビジネスを進めていかなければなりません。「人見知りをしない」ということは、誰に対してもコミュニケーションを取れるというPRになります。
志望企業や業種、職種ごとに選ぶ長所を変えて、自己PRを考えていきましょう。
例えば、前項では営業職志望の強みとして「人見知りをしない性格」を選びました。もし事務職を志望する場合であれば、デスクワークがほとんどですので「集中力がある」ことを強みにできそうです。
このように、志望企業の求める人物像や職種に求められる能力を調べ、それに当てはまるように自己PRを考えていくことがポイントとなります。
*業界、職種に精通したキャリアコンサルタントがカウンセリングを行います。キャリアコンサルタントとのカウンセリングの中で新しい可能性が見つかったり、思いがけないチャンスが巡ってきたりなど、自分ひとりで転職活動するよりも数多くのメリットがあります。
長所を使った自己PR文の作り方について紹介します。例文を参考に、詳しくみていきましょう。
自己PR例文 私は、上司や同僚から「人見知りしない人」とわれており、自身でもそれが強みだと感じています。この強みは、新しい訪問先への積極的な営業活動に活かされています。 現職では、新規開拓に挑戦し、初訪問を多く行ってきました。大手企業や、すでに競合他社の取引があったとしても、臆することなく、営業活動をしました。その結果、大手との契約を勝ち取ることができ、営業獲得件数が社内で1位になったこともあります。 貴社の営業職として入社したならば、多くの人と新たな関係を築き上げながら、新規クライアントを獲得します。そして貴社の誇れる商品を販売していきたいと考えています。 |
自己PRは、構成を事前に考えてから書き出しましょう。説得力のある自己PRにするためには、以下のような流れで考えることをおすすめします。
【結論】 → 【エピソード(具体例)】 → 【企業へのメリット】 |
まず、結論として自分の強みを述べます。その際、その強みが本当に備わっていることを証明するための具体例を盛り込みましょう。具体例では、「◯◯することを心がけています」など、努力した先が見えない内容だと信憑性に欠けてしまいます。「◯◯を心がけた結果、リピーターが約2倍に増えました」など、成果もあわせて述べましょう。
自己PRの締めでは「自分を採用したらこのようなメリットがある」と面接官を納得させるように終えるといいでしょう。この構成作りを意識して考えると、相手にもわかりやすく伝えることができるので試してみてください。
さらに、自己PRに「他者からの意見」を取り入れると説得力が増します。
例えば「私は友人から、人見知りしない人だといわれています」などです。冒頭で述べる結論に他人からの意見を取り入れ、具体例において「なぜそういわれるのか」理由を述べていきましょう。
企業が求める人材の素質と長所を結びつけましょう。それに加え、「どのようにその長所は業務に活かされるか」を明確にすることも重要です。「新規クライアントを獲得」など、具体的に業務へどのように活かされるかを明確にすることで、より企業が求める人材であると自分をアピールすることができます。
自己PRと長所の違いを理解しないまま転職活動に臨むと、自分ではうまく答えられたと思っていてもずれが生じてしまうかもかもしれません。自己PRは、仕事で活かすことのできる自分の強みをアピールすることです。面接官の意図をしっかりと理解し、自己PRを完成させましょう。
もし自分だけでは自己PRを作成することに不安がある場合、転職エージェントに相談するのもおすすめです。効果的な自己PRをプロと一緒に相談しながら作成できます。
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