グローバル人材 採用動向レポート│IT
ITプロフェッショナルの需要は、幅広い関連職種を通じて継続するでしょう。特にデータサイエンティスト、エンジニアやその他データ関連のスペシャリストの圧倒的な不足が見込まれるため、こうしたプロフェッショナルの獲得競争は一段と激化する見通しです。加えて、サイバーセキュリティ関連スペシャリストのほか、クラウドシステムの導入が急速に進むなかでクラウド技術に詳しいエンジニアやコンサルタントの需要も引き続き高まるでしょう。
IT―商工業
2016年は商工業分野の採用活動が非常に活発で、特に製薬・製造業での採用が増加しました。ただ、その大半は欠員補充で、求職者は新たな挑戦を求めて前職と同じ給与水準で転職する、もしくは最低限の昇給での転職となりました。2020年に東京オリンピックを控え、レジャーおよびホスピタリティ業界では特にビジネスアプリケーション、顧客関係管理(CRM)、統合基幹業務システム(ERP)関連ポジションの採用が2017年以降も一段と増加すると見込まれます。
IT―金融
証券業界の採用活動は、2016年前半は欠員補充のみに限られ、特にアプリケーションサポートなどのサポート業務の採用は限定的でした。リスクやセキュリティ分野では、規制にからむ需要から採用が増加したものの、全体的には1年を通じて、採用活動は控えめとなりました。一方、保険業界の経験を持つバイリンガル人材の不足から、シニアレベルのプロジェクトマネージャーやプログラムマネージャーは高い需要が続き、証券・保険業界の転職者は、平均15~25%の昇給となりました。また、決済、投資、パーソナルファイナンスを扱うフィンテックの新規事業者の多くでも採用が増加しました。ウェブ開発やモバイル開発、なかでもユーザーインターフェイス (UI)/ ユーザーエクスペリエンス (UX) の業務経験を持つプロフェッショナルが特に人気を集めました。採用活動は今後も証券業界では低調、保険業界では横ばい、フィンテック関連では活発でしょう。
IT―オンライン
2016年は、多くの企業が市場規模の拡大や実店舗運営コストの削減のため、マーケティングや顧客販売チャネルのフォーカスをオンラインに移しました。これを受け、一年を通じて、ゲーム、ソーシャルメディア、Eコマース企業でウェブプロデューサー、UI/UX デザイナー、Unity/Python 開発者、フロントエンドおよびバックエンドプログラマーへの根強い需要が続きました。また、オムニチャネル、O2Oなどのオンラインビジネス需要を背景としたエンジニアの積極的な採用も続きました。こうした極めて競争が激しい求人市場で優秀なエンジニアを採用するに当たり、日本語力よりも高い技術スキルを優先した企業の方が、より自社の採用条件を満たす人材の採用に成功しています。
IT― ベンダー・コンサルティング
2016年も、データサイエンティスト、データアナリスト、ビジネスインテリジェンス・エンジニア、およびコンサルタントに対する需要の急速な伸びが続きました。データ関連人材の需要の高まりから、2017年も給与水準の上昇傾向が続くでしょう。一方、消費者の間でセキュリティサービスへの需要が想定ほど高まらなかったことを受け、セキュリティエンジニアのニーズは低下しました。2017 年も、クラウド技術の経験を持つエンジニアやコンサルタントへの高い需要が続くと予想されます。オンプレミスからクラウドソリューションに移行する企業が増えるにつれ、ベンダー側、ユーザー側ともに、ソフトウェア(SaaS)やインフラ/プラットフォームエンジニア(IaaS/PaaS)の需要が大幅に高まると予想されます。この結果、コンサルティング会社の間では、製品の配置・統合プロジェクトの実行や管理を行える経験豊富な候補者をめぐり、人材獲得競争が起こるでしょう。
IT―派遣・契約社員
2017年は、ジュニアレベルのバイリンガル人材やファーストレベルのエスカレーションサポート人材の堅調な需要が続き、インフラ関連のポジション全体で昇給が見込まれます。特にリテール、Eコマース、ゲーム、製造業でウェブ関連の技術やSAPの経験を持つ候補者は、2017年も引き続き需要が高いでしょう。また、ITシステムのグローバル標準化を目指す企業が増えたことが、経験豊富なプロジェクトマネージャーやコンサルタントの給与水準の上昇につながっています。大阪では、ユーザーサポート、ヘルプデスク、CADオペレーションの経験を持つプロフェッショナルの求職活動が活発化しました
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