【製造業界】グローバル人材 採用動向レポート 2019

Manufacturing

製造

自動車

自動運転、コネクテッドカーなど技術の進化が期待される自動車分野では、コンポーネント/テストを担うソフトウェアエンジニア、電気エンジニアの採用が活発で、当社で扱う求人数、採用成立件数ともに当社開業以来最高の水準に達しています。2018年は自動車関連メーカーの多くが自社に開発担当者を据えはじめ、同時にサプライヤーが完成車メーカーにオンサイトエンジニアを常駐させる動きも広がっています。また大手メーカー各社がサプライヤーの見直しを進めたことにより1次サプライヤーでは営業体制を強化する動きが見られ、営業スペシャリスト、新規開拓(ビジネスデベロップメント)スペシャリストの採用が増えています。

自動車分野では経営統合や事業部の切り離しで組織構造に変化のあった企業が多く、それによって一定数の人材の動きが生まれています。また2018年は中国、欧州などが電気自動車(EV)を普及させる政策を打ち出し、国内でも経済産業省がEVの普及に向けて動き出しました。このEV化の流れはエンジニアの採用拡大を牽引しています。前出の電気エンジニア、ソフトウェアエンジニアに加えて、リチウムイオン電池の開発を担うマテリアルエンジニアの採用も増えています。

バイリンガルの日本人技術者の人材プールが非常に小さいなか、最近は専門性の細分化が加速しそれぞれの領域での深い見識と充実した経験を求める傾向が強まっています。一方で2018年は採用企業側が、国内人材だけでは供給が追いつかない現状を理解し、日本語力に対する要求を緩和して技術の優れた外国人を採用する企業が従来以上に多く見られました。

自動車分野での技術者の中途採用では、技術の導入だけでなく研究・開発にも携われるか否かも技術者にとって転職を決断する際の重要な要素になっています。採用オファー時に提示される給与相場は2017年時点に比べて5%前後高まっています。また、多くの転職者は前職に比べて5〜15%高い給与水準を提示されて転職を決めています。この傾向は2019年も続くことが予想されます。特に優秀な人材を巡っては他社よりも有利に人材獲得競争を進めるために、入社一時金(サインオンボーナス)を提示して待遇の差別化を図る企業も出てきています。

製造一般

景況感とテクノロジーの進化などを背景に、産業用機器、分析・計測機器、半導体の3分野を中心に、製造全域で技術者、プロジェクトマネジャー、マーケティング、営業のポジションで求人が増えています。製造分野では産業IoT、AI、ロボットといった次世代技術の導入が加速しており、マルチスキルを備えたエンジニアの採用ニーズが伸びています。特に大手メーカーは、産業IoT、工場自動化(FA)に向けて、センサー技術、コネクティビティ、ロボット、ソフトウェアなどの経験を持つ技術者の採用に積極的な姿勢を見せています。2018年を通して広がったこのトレンドは2019年も続くことが予想されます。

また、日本参入して数年の外資系メーカーではフィールドサービスエンジニアの増員に踏み込むことで営業活動を有利に進められていたり、アフターサービスの売上げを伸ばしている企業もあります。日英バイリンガルの若手-中堅層のフィールドサービスエンジニア(保守点検)、営業スペシャリストの需要が高まっています。

技術と専門分野での経験のみならず英語も必須とされる仕事が大半ななか、技術・経験の豊富さを優先して日本語の堪能でない外国人にも門戸を開く企業が、製造業では増えています。採用条件の日本語力の基準も会話レベル(N3レベル)まで緩和し、採用後に実務・研修を通じて日本語を習得できるよう環境を整備するなど、人材不足を受けて人材確保に向けた工夫を凝らす企業が見られます。一方で英語への要求度は年々増しています。営業職では国内の顧客の意向をもとに本社(外資系:海外)とのパイプ役を担うため英語力が求められます。また技術職でもプロジェクトエンジニア、アプリケーションエンジニアなど、サービス提案への積極的な関与も求められるポジションが増えています。こうしたポジションでは技術面のスキル・経験だけでなく提案力、顧客対応力など、採用条件に挙げられるスキルセットが従来よりも複雑化しており、英語でのコミュニケーション能力に対する要求も高まっています。同時に、候補者不足の難題に直面するなか、候補者の技術の領域が職務内容に完全には合致しない場合でも、トレーニングを介せば有用になる技術を持つ人材を代わりに採用するなどの柔軟な姿勢を示す企業も散見されはじめています。この動きは2019年からさらに強まるでしょう。

特に技術人材、グローバル人材の供給不足が深刻化するなか、候補者の年収よりも高い給与額を提22示したり、シニアレベルの採用では高いインセンティブボーナスを提示するなど各社は優秀な人材の確保に余念がありません。人口減と理系出身者の少なさで人材層の薄い若手技術者の確保を巡っては、特に人材獲得競争が激しくなっています。こうした理由から転職者は採用オファーを受ける際の給与相場は、現職の年収よりも平均15〜25%高くなっています。

関西でもインダストリー4.0、IoTの進化が見られるなか、最新技術を自社の商品・サービスに盛り込みたい考えから企業は経験のある人材を早めに確保しようと採用に積極的です。また、この領域の成長性に期待する候補者は多く、スキルを習得できると見込んで希望する候補者も一定数います。

営業・エンジニアの仕事では、機械/電気の専門知識・スキルを持つ人材に人気が集中しています。また、人材不足への理解がさらに広まりスキル・経験の豊富なシニア人材の採用、スキル・経験では採用条件に足らなくとも成長が見込める若手のポテンシャル採用にも視野を広げる企業が増えています。

人材の需給バランスの都合から、採用に際して、従来よりも採用予算を確保している企業が多く、競争相手(他社)よりも高い給与額を提示し合う人材獲得競争が見られます。

化学

国内経済と世界的な製造業の好調を受けて、日本を拠点にビジネスを展開する化学メーカー各社のビジネスは概ね好調です。その影響もあり、バイリンガル人材の需要も確実に伸びています。外資系では増員が目立ち、日系企業でもバイリンガルなグローバル人材の採用に注力しているため供給量が需要に追いつかない売り手市場の状態が続いています。

自動車業界の主要国である日本では、EV用バッテリー領域、EV充電ステーション領域での採用が2018年を通して特に活発でした。営業職、マーケティング職のほか、テクニカルサービス(提案・折衝業務をともなうエンジニア職)の採用が目立ち、この傾向は2019年も続くでしょう。

コスメティックス、栄養補助/機能性食品業界でも引き続き堅調な採用需要が見られます。高齢化社会のため健康・美容意識が高い日本市場では、各社の業績も好調です。栄養補助/機能性食品業界ではオーガニックなどの自然素材の人気が高く、コスメティックスでも同様のトレンドが見られます。そのため営業、アプリケーションデベロップメント(商品開発)の仕事を中心に採用が増えています。

また、2018年は日系・外資系ともに東京オフィスにいながらアジア圏・アジア太平洋地域を管轄し、日本国内だけでなく地域全体の決裁権を持つポジションを東京オフィスに設ける動きが広がりました。日本を基準に地域全体のスペックインを行う企業が多いことも一因で、候補者にとっても魅力的な職責であることから、採用活動は比較的スムーズに運んでいます。また、外資系・日系ともにバイリンガルで技術分野の素養を備えた若手の営業・マーケティング人材の引き合いが特に強まっていますが、2019年もこの需要は伸び続けることが予想されます。

最近では材料研究・開発にAI技術を用いるマテリアル/インフォマティックス(MI)というキーワードも浮上。日系大手メーカーでは、MIスペシャリストなどデジタル人材の採用も新たな課題になっており、2019年からこうした人材の実需が出始める見込みです。

このようにバイリンガルの理系人材の需給は逼迫しているなか、米系化学メーカーを中心に女性活躍では進歩が見られます。またR&D、エンジニアなどの技術職では社内言語として必要なビジネスレベルの日本語が扱える外国人に限り、外国人採用のケースも散見されます。その一方で、営業人材・マーケティング人材の場合は顧客折衝レベルの言語力と日本のビジネス慣習・文化への深い理解が求められるとの考えから、まだ各社では外国人人材の活用がほとんど見られません。

そのため優秀な人材を確保するには、すばやい決裁と競争力の高い給与額の提示が求められます。アジア圏の給与相場が高まってきていることから、アジア圏全域を見るポジションでは給与面での考慮は特に欠かせません。実際に2018年に化学分野で転職が決まった事例では営業職、技術職ともに前職に比べて15〜30%ほど高い給与額が提示されました。給与以外にも将来性、安定性、事業内容、研究内容も転職の重要な決め手になっており、成長が約束されているEVバッテリー分野、エンジニアリングプラスチックなどのハイエンド領域は特に人気を集めています。

エネルギー

2009年の制度開始時から太陽光発電の余剰電力を売電してきた世帯の契約が19年度末に終了することもあり、エネルギー分野での求人、採用の中心は従来型エネルギー、太陽光以外の再生可能エネルギー、蓄電の領域にシフトしています。

なかでも再生可能エネルギーの主力電源化を受けて、洋上風力発電へは世界各国からの日本参入が相次いでおり、日本企業と外資系企業の提携なども見込まれています。洋上風力発電の領域では日本市場に詳しい専門人材の採用が2019年も増えるでしょう。2018年はエネルギー分野の中途採用の大部分を技術者の採用が占めましたが、2019年は前述の外資参入の流れのもと営業人材の採用が活発になるでしょう。

水素燃料、蓄電、電力小売の領域では2019年も人材需要が伸びることが予想されます。特に再生可能エネルギーの余剰分を水素に変える、または蓄電する工程・システムに携わる技術者、新規顧客開拓、営業を担う人材を巡る採用活動が緩やかに増えるでしょう。

前出の洋上風力発電のほかにも、再生可能エネルギーの領域では外資系企業の新規参入が多く見られるなか、経験の豊富な中堅〜シニアレベルのプロフェッショナルを各社が求め、事業拡大を担う開発担当者と発電施設の管理・修繕を担う技術者の求人が増えています。日本語と英語を扱える電気エンジニアの需要は今後も高止まりが予想されるなか、バイリンガルで2級以上の電気主任技術者の資格と太陽光発電分野などエネル23ギー分野での実務経験を持つ候補者の引き合いは特に強まるでしょう。

こうした市場背景を受け、優秀な候補者を確保する際には競争力のある給与・ボーナス額の提示が従来以上に重要になっています。実際に、新規開拓・営業部門の採用では前職より良い待遇を提示する企業が多く、2018年中にも経験の豊かな管理職が、前職に比べ30%以上の給与アップを受けて採用されたというケースもありました。また海外拠点でのプロジェクト、最新技術、新しい領域に携われることも転職を決断する際の決め手として重要視されています。

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