【日本国内】グローバル人材マーケット 採用動向レポート 2018

政府が「人づくり」「働き方」改革を優先施策に据えて具体策が示され始めていているなか、複数企業の人手不足問題や過労死問題が広くメディアで報じられるなど、企業・消費者(労働者)の双方に「人材不足」と「働き方」の課題が突きつけられた1年となりました。
バイリンガル人材の需要
厚生労働省公表の有効求人倍率は1.5倍を超え43年ぶりの高水準に達し、2017年は国内に拠点を持つ大多数の企業が人手不足に直面しました。グローバリゼーション、テクノロジーの進化にともなって、日本でもグローバルやクロスボーダーのビジネスが一層加速した1年となりました。そのため業界に隔てなく広範な分野で、グローバルのビジネス慣習と第2言語に堪能なバイリンガル人材を据えたいという企業が多く、バイリンガル・スペシャリストの需要は過去最高レベルに達しています。専門スキル、豊富な経験値を備えた優秀なバイリンガル人材を確保できるか否かが企業の将来性を左右し始め、日本経済の成長の鍵を握っています。
メーカー・人事・財務での人材需要
自動車メーカーなどの製造メーカーではかつての電気エンジニアと機械エンジニアのスキルをあわせ持つメカトロニクス・エンジニアが活躍するなど、従来型ビジネスの分野でも新たな専門スキルが採用要件に付加されるケースも散見されます。人事では人事ビジネスパートナー(HRBP)、財務ではフィナンシャル・プランニング&アナリシス(FP&A)、商工業・金融サービスではデータアナリストなど課題発見・解決能力と戦略的な判断を用いて組織とビジネスの成長に貢献する人材に対しても需要が伸びています。
東京都の有効求人倍率は2倍強ですが、こうした専門性の高い仕事や新興分野の仕事では4~5倍と需要が高いのに対し、一般事務・経理では1倍に満たない飽和の状態にあります。フィンテック、メディテック、HR テック、不動産テック、アグリテックなど、昨年後期に続いて2017年も「○○テック」という言葉の普及をともなって最新 IT技術の実用化が広範な業界で広がっています。また、オリンピック開催に向けたITセキュリティ対策の加速も目立ちます。これにともない足元ではAI、IoT技術の実用化を担えるエンジニアと、その技術を国内外に売り込める営業スペシャリストが圧倒的に不足しています。先述のような新興分野では、これまでに無かった新しい仕事が生まれています。
35歳以上の中堅・シニア層の転職
35歳以上の転職も増えています。ポテンシャル採用など将来を見据えた中途採用とは別に、ビジネス拡大、新領域への参入を目的に即戦力を求める中途採用では経験値と専門スキルが十分な中堅・シニア層の採用が成立するケースが少なくありません。新興分野のIT技術職などを除いては35歳以下の人材プールでは企業が求めているスキルに対して十分な候補者が見つからないといった要因だけでなく、需給バランスの関係で売り手市場化が浸透していることから35歳以上、更には40~60代の転職に対して企業が寛容になっていることが分かります。こうした中堅・シニアレベルの専門人材には、専門性の高さと豊富な経験値が要求されます。技術系、財務、営業などといった専門スキルに加え、マネジメント能力も重要視されます。
バイリンガル人材と昇給
人手不足が進む一方で、企業に留まる人材については昇給の鈍さが依然として続いています。背景には、20年あまり続くデフレで物価が上がらないため昇給が鈍化していても働き手が大して抵抗感・違和感を抱いていないことに加え、企業が人件費に関わるコストの引き上げに慎重になっていることなどがあります。また従来型の日系企業では年功序列型の賃金構造も一因となっています。これに対して英語・日本語の両言語に堪能で専門性を備えたバイリンガル人材への引き合いはさらに強まっています。求められるスキルセットを持ち合わせた人材の供給が需要に満たないことから、こういった人材が転職内定時に提示される給与額が10~15%前職時に比べて高くなることも少なくありません。テクノロジーをともなう新興分野などでは20~25%に達するケースもあります。さらには在宅勤務・研修制度の充実・評価基準の改変など働き方に関するメリットを訴求して求人応募者を集めようといった試みも増えています。この動きは2018年以降もさらに広がるでしょう。
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